夏帆 The Tale of KAHO

book

村上春樹の新作を二週間かけて読み込んだ。女性が主人公なのは珍しく女性目線で物語が進む。相変わらずというか、独特の村上春樹世界が散りばめ、まさに小説でしか体験できない不思議ワールドの物語ではあった。個人的には前作の「不確かな壁」の方が面白かったかな。読み進めるにつき、だいぶ経験値が増したのか、これからの展開が予想され、なるほどやっぱりねと読み進めた。

物語は現実離れした面もありそれが小説でもあり面白い部分でもあるが、登場地名は現存していて、その土地、風景を頭の中で想像してしまう。その辺りの現実と空想の境界線引きが村上春樹の面白いとこではある。

冒頭で「これまでいろんな女性とデートのようなことをしてきたが、正直いって、君みたいな醜い相手は初めてだよ」とその男は言った。

なかなかインパクトある冒頭である。えっ!?何々?って読者を掴む瞬間があった。物語はこの絵描家の主人公、夏帆とその周りにある不思議な出来事を夏帆中心の心情で語られてある。夏帆を助けるアリクイという動物が何なのか?と動物図鑑を開くこともあった。

村上春樹節の小説であると一言で片付けられるが、やはり模写伝達能力は高い。これが村上春樹ワールド。既にブックオフあたりでは中古本が見受けられる。定価より少し安いくらいなので、新品を買った方がいいかも。それでも昔、古本屋へ出したが、その下取り価格の異常に低い設定値には辟易した記憶がある。まぁ、その利鞘で商売するのが基本ではあるが。