WBC

diary sports

WBCの予選ラウンドを予定通りの全勝1位通過を果たした全日本。野球を見ることがあまり無くなってきた時流、久しぶりに一生懸命とういか、全編をよく見てみた。初めて知る選手も結構いて、今年から大リーグでプレーする吉田なんかは初めて見る選手であった。見てると、えらく小さい選手で調べてみたら173cmの短身で俺より小さいことが分かった。それでも、ユニフォーム越しに見える身体は全身筋肉、小さなマッチョに見えた。案の定、フリー打撃では大谷を越えないまでも、スタンド中段以上にホームランを放っており、その全身バネの身体が再確認できた。

 メジャーリーグ選手は大谷、ダルビッシュ、吉田、ヌートバーと打線では三人いたが、共にチャンスに強く、セリーグホームラン王の村上はヒット2本の打率1割代、パリーグホームラン王の山川も同じような成績、そして我がジャイアンツの主砲である岡本も低迷と、そのコンストラストに改めてメジャーリーガーの底力を見る思いである。村上も調子が戻ってくるまで、6番、7番あたりに降格させればいいものを栗山采配では結果を残すまで使い続ける気である。打率的に今のとこは低いので、これからのイタリア戦ではある程度の結果を残すかも知れないが、プレッシャーに潰され、野球を楽しめていない村上の暗雲たる表情を見ていると、その采配もどうなのかな?と疑問視してくる。まぁ、栗山監督にはそれなりの考えがあるのであるから静観するしかないが。実際、今のWBCのメンバーを見れば主軸である大谷、ダルビッシュは栗山が育てた選手でもある。

第一試合の中国戦は、コントロールの定まらない中国ピッチャーにリズムを崩し、打てそうで打てないジレンマに陥った試合でもあった。しかし野球の攻撃は9回あるのでそのうち捕まえると思っていたが、やはり、実力の差が中盤、後半になると如実に現れ、開幕戦を飾る勝利となった。

第2試合の韓国戦は、両国やたら気合の入る対戦で、韓国は総力戦で日本勝利のためだけに動いてきた感はあるが、総合力では日本が断然上であり、後半はコールドゲームで終わってもいい内容となった。それでも8番キャチャーの選手で名前は忘れたが、甘く入ったダルビッシュの投球を見逃さず、レフトスタンド中段まで運んだパワーには驚いた。メジャーリーガーの投げた球でも、この国際大会になればそのパワーでスタンドまで運ぶ力はある。そしてその彼のプレーに注視したのは、いつもの感情爆発、ここぞとばかりに雄叫びを上げる韓国人には珍しく、静かに淡々とベースを一周し、パフォーマンスもしない姿にある意味清々しさを感じた。年齢は36歳でほぼ終焉にある選手生命であるが、静かな韓国人もいるのだと感心した。

第3試合のチェコ戦は、高校球児より遅い、ピッチャーのストレートとチェンジアップに苦しみ、大谷でさえ、引きつけて引きつけてバットを振ったものの、さらに遅い球で届く前に振り抜いて、3球三振となった。その不思議な光景を見て、逆に遅すぎる球も有効球になれるのではと自分の草野球にも用いられるのではないかという光を見出すことになった。超スローボールも打者一巡を過ぎると流石に捉えてくるのが全日本、先制され、まさか追う展開も逆に集中力が増し、後半の連打につながったのだと思う。先発の佐々木も格下社会人野球チームのチェコに少しも緩めず全力で速球を放り込む姿勢は良かった。また、デッドーボールでの対応も、韓国とは雲泥の差の共にスポーツマンシップがいかんなく発揮され、両者その行動に感動さえ及ぼした。デッドボールを受けた選手はある意味、人生で最も速い球を膝で受け立ち上がった猛者として記録され、彼自身もみやげ話として語られるであろう。でも、翌日腫れあがった膝を見ると、打球を受けた直後よりも痛みが増してくると思われる。社会人チームであるチェコも母国を代表する選手であり、セカンドゴロでの瞬間スローイングも大リーグを彷彿させるプレーで沸いた。共に全身全霊を懸けてる姿が画面を通じてでも伝わってきた。この真剣味、本気度が国際試合である。そして最後に「リスペクトチェコ」と大谷がSNSを通じて伝えた姿勢がこれまた、普通の人間を凌駕した人間力に魅せられた。大谷はアスリートであるが、その行動はガンジー並みの偉人である。

第4試合のオーストラリア戦ではお祭り男の大谷が、自身の看板にも当てるまさにメジャーリーガー強打者が打つホームランであった。よくよく考えると、大谷の所属する全日本は、ボンズ、マグアイア、ソーサがいる全日本であるのと変わりない。世界最高峰の打者が全日本にいる。そんな風景に改めて思い直した。この試合だけようやく、日本が先制し、そのまま強靭な投手リレーで相手チームを葬った戦いであった。打率5割、打点8、ホームラン1と順調に結果を残す大谷、彼のリラックスした普通の姿勢の構えが逆にいいのかと思えてきた。気負いがなく淡々と自分の仕事をする姿勢。そして野球を楽しみ、その楽しさに魅了される聴衆。その正のスパイラルが大谷自身を上の世界へと導いているのであろう。

次の対戦は木曜日に大谷先発でイタリア戦、ここまでおろそかであった仕事を一生懸命やろう。久しぶりに仕事が手につかない1週間であった。