複雑化の教育論
内田樹の教育論を読み終えた。一気に読まないと、前後の文脈が忘れ去られて、再び本に没頭するまで時間がかかってしまう。と言っても一気に読むには集中力と時間が必要で、なかなかそれができないのが難点ではある。結論から言って、素晴らしい教育論であった。教育関係者にはぜひ読んでもらいたい本ではある。もちろん普通の大人にも。
早速、いつものアンダーラインを抜粋していく。
大学というのは「知の深み」に入るための場です。学術の世界がいかに広大であるかを思い知ることが、学びの始点においてまず経験すべきことです。
「ビジネスマンに学校教育について語らせてはいけない」教育という事業はトータルな活動であることを彼らが忘れいているということでした。教育というのは、有用な知識や技術を効率よく子供に伝えて、獲得された知識や技術を数値的に表示して、その点数に基づいて子供たちを格付けするためのシステムだと信じている人が現代日本ではほとんどです。学校は子供たちの成熟を支援する場です。学校教育についてのすべての事案は「それは子供たちの成熟に資するか?」という唯一のものさしによって考量されるべきです。
僕がいう「成熟」というのは量的に何かが増えるということとは違います。成熟というのは複雑化することです。人格が多層化する。目の前の出来事を捉える時の視座が増えると、立体視できるようになる。そうやってしだいに「一筋縄では捉えられない人間」になってゆく。それが成熟というものです。
子供たちに向かって教師が告げるべき最小の言葉は「あなたには成熟し、複雑化する権利がある。あなたが自分の殻を破って、傷つきやすい状態になっと時にも私はあなたを傷つけないし、あなたを傷つけようとするものからあなたを守るために最善を尽くす」であると僕は思います。
この四半世紀の間に、日本人の知的水準は劇的に低下しました。最大の理由は「話を簡単にする人が賢いと人だ」というデタラメをいつのまにかみんなが信じ始めたからです。
文科省は国民の市民的成熟などまったく望んでいないように見えます。むしろ幼児のままでいて欲しいとさえ思っている。
国力の一番信頼できる指標は「国際社会でどの程度リスペクトされているか」だと僕は思います。今の日本で民主主義が空洞化しているのは、民主主義的な合意形成の技術知を身につけた「大人」がいなくなりつつあるからです。
いま、日本に不登校が20万人いると言われています。それだけの子供が学校を忌避しているということになると、これは個人の問題ではなく、システムの問題です。制度設計が間違っているのです。わずかな社会的能力の不足や欠如を咎めて、適応不能に追い込んでいる。要求が高すぎるのです。学校に来る以上は、これこれのことができなかればならないという欲求水準が高過ぎる。「子供を守る」というのが学校の第一の存在意義です。学校教育で一番大事なことは、まず子供たちを歓待し、子供たちを承認することです。君はここにいる。そこにいていい。いる権利がある。君がここにいることを私たちは願っている。そう伝えることができたら、学校教育としてはもう上等だと僕は思います。
抜粋しきれない名文が、当然ほかも多くあるが、その名文を知りたい方はぜひ本書をとってもらいたい。「話を簡単にする人が賢い」という文章には衝撃が走った。簡単にする人が賢いとこっちも思って実践してきたので。長い哲学的な学術的文書は理解するのが難しいので、要点を伝えてくれると助かる的な甘えがどこかにあり、その要点をまとめることができる人間が賢いと信じていたこともある。このブログにしてもできるだけ簡略し伝えることが大事であるし、自分を含めたバカにはそれがいいだろうと見切った考えもあった。裏を返せば、哲学的で長い説明的な文章を構築するには時間も知力も必要でその労力をサボったことでもある。
「交際社会でどの程度リスペクトされているか」は地球人で一番リスペクトされている民族が日本人だという自信はある。これほど世界に金をばら撒いた民はいないと思う。当然、見えない税金、税金(その他社会保険)という名の搾取が行われていたで、日本人の労働力スコアが世界中の民に届けられたという事実は間違いなくある。日本人一人ひとりの労働が自分の給料としてカウントされず、3分の2はおそらく流されていただろいう事実から。ビザの申請が最も少ない国が日本であるということも、少し前のYouTube動画で知った。日本人が危険ではなく良心的な民であることを世界の国々が認めているから、入国も他国よりも敷居がえらく低い。それは過去の祖先からの日本人の信用残高が圧倒的に高いことに他ならない。その点の事実は搾取され続ける哀れな民である裏返しの信用になっていると逆説的に思う。
もう一度江戸時代のような日本人の幸せを享受したいのなら、この拝金主義、デタラメ政治、デタラメ税金、その他上級国民の排除が必要になってくる。未だにコロナワクチンが猛毒であるのに、接種を勧める政治家、医師、マスコミ、その他の関係者、その輩が排除されない限り、日本に未来はない。自助努力で排除することは出来ないだろうな、日本人だけでは。それが悲しいとこではある。