女のいない男たち

book diary

2ヶ月ぶりの投稿となる。忙しかったわけでもなく、買い集めた本のレビューをするつもりであったが、どれとして完読せず、あっちにフラフラ、こっちにフラフラと乱読する整合性のない読書習慣であった。

そこの中で唯一、本屋で立ち止まった本を読み上げ、こうしてデスクトップに向かっている。この本は書店の入り口付近にあり、何の催しでその棚にあったのか記憶にない。本を読んでみよう的なキャンペーンの棚にあったのだと思う。必然的に気になり中身を軽く読み元に戻した。2回目の来店で、また気になるので、これは運命と思い、買ってすぐ読んでみた。

村上春樹の世界はやはり凄い。どう凄いのか?小説家としての発想と物語の不思議さもあるが、やはり圧倒的な文章力による没入感が半端ない。恐ろしいほど文章の中に自分自身が投影される。そして、その投影の中に、自分の頭で想像される世界、描写風景が圧倒的に展開され、その時の感情移入や思いが半端ない。

短編小説が6篇ある。村上春樹は長編小説がほとんどのような気もするが、村上春樹節に触れたい、まだ小説慣れしていない方におすすめ。いきなりの結末に朦朧とすることもあるが、その余韻と読書の方の想像性を加味し、いきなり指揮者がタクトを降ろし演奏を終結してしまうフィニッシュもある。

それでも日常の法則を文章を通じて説明しながら、時より小説のありえないと言うか奇想天外な言葉の欄列に見失うとこもあるが、その非日常での想像力に脱帽するしかない。改めて、村上春樹の凄さを感じる短編ではあった。

最近、YouTubeでのコンテンツを見過ぎていて、普通の放送の受信はしなくなった我が家のテレビ。久しぶりにハードディスクに録画されていた動画をチェックしてみた。そこには小説の中にある「ドライブ・マイ・カー」という映画があり、録画した事実さえ忘れた時に映画が発見された。まさにシンクロニシティ。最近は、物忘れがひどく同じ本を2回買うというヘマもある。しばらく読んでいると「あれ?なんか記憶にある文章だな」と感じ、家の本棚を探すと同じ本がある。タイトルで興味を持つもので、同じ感性なのだと過去の自分に共有性も感じるが、買った本も覚えていないとこに、老化というか若い時には考えられない現実がある。

自分が2回買うものであるから、中身はいいと友人に贈った。読むかどうか知らないけどね。